「ここだ。広かねーけど、ちゃんと掃除してっから」

 アーサーとレンブラントには二人部屋、イオスには一人部屋が用意された。
 エディ曰く、〈湖の隠れ家亭〉を定宿にしている冒険者は少ない。主人であるイングリドはあまり経営熱心ではなく、店は他にも沢山あるからだ。「居着いてくれると嬉しーんだけどよ」とは、彼の本心であったろう。儲けのこともなくはないが、信頼できる冒険者が泊まっていることは店の安全にも繋がる。少なくとも、今度のような事件は起こらなかったかもしれない。冒険者と冒険者の店は持ちつ持たれつ。もっとも、エディはそこまで口には出さなかった。相手はまだ駆け出しの冒険者、どこかへ流れる以前に、すぐに故郷へ帰ってしまうかもしれないのだ。エディはアーサーの耳をくしゅと潰し、ひらひらと手を振って一階へ下りていった。

「やあ。一緒にどうかと思ってね」

 めいめいに寛いで食事に降りてくると、テオドールとマルセルが三人を待っていた。広めの六人掛け丸テーブルに、今は杯が二つ。三人の姿を見ると、すぐにコボルドのビットが麦酒の杯を三つ運んできた。

「おつかれっすー!これはお祝いっす!女将さんから!」

 酒は飲めない…などという言葉を聞き入れる気はないらしい。それぞれの手に杯を押し付け、新しい厨房係は跳ねるように戻っていった。最初に出会った時からすると、別人かと思うほど生き生きとしている。出てきた料理は単純なものが多かったが、ビットは人族の食材の豊富さに驚き、その調理法について詳しく尋ねては、エディを困らせていた。他に食事客の姿もない〈湖の隠れ家亭〉が、評判の料理店となる日も遠くはないのかもしれない。
 テオドールはよく飲み、よく食べ、よく話した。人好きのする笑みに快活な物言いで、三人の話にもよく耳を傾けた。対するマルセルはお喋りな性質ではなかったが、酒が進めば幾分滑らかにはなった。テオドールは仕立屋で修業をしていたが、どうやら才能がないらしいこと。配達と仕入れに回され、一人では辛かったから、嫌がるマルセルを無理矢理引き入れたこと。馬車で近隣の町との往復を続けている内に、その方が性に合っていると気付いたこと。代わる代わるに話す二人は、やはり幼馴染なのだと感じさせた。

「そうしたら、もっと腕を磨きたくなってね。時々、ここに来てるって訳さ」

 ご機嫌に話すテオドールの横で、マルセルは肩を竦める他なかった。

 空腹を満たし、一部が本格的に酒に手を伸ばし始めた頃、主人であるイングリドが店に戻ってきた。事件の後処理に追われていたのか少々疲れた顔つきだったが、酒宴の気配を嗅ぎつけると喜んで席に着いた。

「何座ってんすか、イングリドさん」
「いいから私にも寄越しなさい、エディ。皆、今日の飲み代は奢りよ!…宿代は貰うけど」

 気前が良いのか悪いのか、歓迎と商売は別ということか。自身も冒険者であったイングリドは、彼ら駆け出しが殊更に好きだった。好きなだけで然して手助けもしないので、店はいつも閑古鳥が鳴いている。いわば趣味の店であったが、それでも入れ替わり立ち替わり訪れる彼らをただ眺めているのが好きだった。彼らが成功し、あるいは挫折してこの店を去っていくまでを、もう随分長いこと見詰めている。

「ねぇ、それでアナタ達……冒険者としてやっていくんでしょう?さっきの剣のかけら、どうするの」


===

はい!長い前フリでしたが、ここからが本題です。

第三話の冒頭(またはミニセッション)で名誉点に関する説明を予定していましたが、その前に他GMによるセッションが始まりそうなのでこのような形に。継続組は〈湖の隠れ家亭〉で、新規組は第二話ラストに神殿で、それぞれ剣のかけらについての話をしたものと思ってください。

剣のかけらの利用法
冒険者の店や神殿を通じて国へ献上することで、名誉点を得ることができます。
(国はそれを〈守りの剣〉の維持に使います。〈穢れ〉を持つ者から領土を守る為の大切なものです)
売却して金銭に変えることもできますが(1つ200G)、名誉点の方が圧倒的に有用ですので、個人的にはそちらをオススメします。

得られる名誉点は剣のかけら1つにつき1D6点、セッション参加者共通です。
(例.3人参加のセッションでかけら3つ入手、3D6の出目合計が10だった場合、3人がそれぞれ10点の名誉点を得ます。人数割りではありません)

名誉点について
冒険者としての社会貢献度をゲーム的に数値化したものです。
獲得した名誉点に応じて知名度が上がったり、専用アイテムを作れたりと様々な恩恵を受けることができます。ルルブⅡを持っている方はそちらを参照、ない方に対しては個別に案内していきます。

現時点での剣のかけら所持数
新規組 第2話 4個+ジューンの2個
継続組 第1話 2個/第2話 6個+テオの2個

継続組の方が多いのですが、シナリオ展開によるものなのでご容赦ください。(その分、金銭報酬は新規組が多くなっています)
今後はシナリオ毎に清算、参加したセッションにより多少違いは出てくると思いますが、それはまあそういうものだと思ってください。新規作成PCに関してはその都度決定。大体同等でスタートが基本です。


以上、後はDMで相談しながら。
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